ダッシュ隊大阪

ボランティアツアー高騰 旅行会社委託で費用増

 九州北部の豪雨災害のボランティアツアーをめぐり、企画するNPOが参加者の費用値上げを余儀なくされ、人手確保に悲鳴を上げている。被災地支援のツアーで旅行業法の厳格な順守を求める観光庁の通達で、旅行会社へのバス運行などの委託を迫られたためだ。同庁はNPOなどが災害後の一定期間、柔軟に対応できるよう通達を改める方針を固めた。

14~16日の日程で、名古屋市のNPO「被災者応援愛知ボランティアセンター」が企画したツアー。応募した32人が大型バスの車中泊で大分県日田市に向かい、民家で泥のかき出し作業に汗を流した。

ただ、学生らも気軽に参加できるように、と考えていた参加費は1人2万円に膨らんだ。昨年5月の観光庁の通達に基づき、バスの手配などを旅行会社に委託したことが要因だ。ボランティアは、赤字ライン(35人)を割り込む人数しか、集まらなかった。

今回はボランティアへの特例で高速料金が無料になり、結果的に赤字は辛うじて回避できたという。久田光政理事長(61)は「今後もバスを継続的に出すのは、難しい。自分たちで募集してバスを運行できれば、1人あたり数千円は引き下げられるはず。国は旅行とボランティアを混同している」と唇をかむ。

旅行業法は、報酬を得てツアーバスなどを手配するには業者としての登録が必要と定める。ボランティア目的でも無登録の団体が代金を受け取ると、法律違反になる恐れがある、というのが観光庁の見解だ。

愛知ボラセンは、東日本大震災の被災地・宮城県へのツアーでも、参加費を震災直後の1万3千円から1万8千円に値上げせざるを得なかった。関越道ツアーバス事故を受け、2014年4月にバス運賃の下限を定めた新料金体系が導入された影響もあるという。

一方、旅行会社を介することで安全性が高まるとの見方もある。来月、九州にツアーバス3便の派遣を考えるNPO「KIプロジェクト」(岐阜県下呂市)の鎌倉庄司理事長(51)は「バス会社と契約し、運行の安全を管理するノウハウは自分たちにない。現地での活動などに専念できる」と、一定の理解を示す。

現場の混乱を受け、観光庁は災害直後の定められた期間に限った特例措置の導入を目指し、最終調整中。運行の安全管理や補償で水準を満たしたNPOは、無登録でもツアーを主催できるようにする方針だ。

同庁観光産業課の担当者は「安全性をどう確保するか、などの調整で時間がかかり、現場に迷惑をかけた。早期に新しい方向性を示したい」と話している。

(中日新聞)

Pocket
このエントリーを Google ブックマーク に追加

2017.07.21更新